モブ×男ふたなりの麗人受け

鎌倉時代の氷雨さんの話。


むかし、むかし。
まだ鎌倉に幕府が置かれていた頃の話だそうだ。

ある若武者が、西国の山奥に、邪気を撒く鬼の住む寺があるという噂を聞きつけた。
若武者は貧しいながらも武家の次男坊で、自分は家を継げないからかわりに物の怪を退治て武名を得ようと考えた。

国に着いた若武者は、早速噂を尋ねて回った。
すると、上方からの流れ者が、鬼が住む尼寺があるという山を教えてくれた。
「なぜか麓の里の者は、尼寺を観音様と呼んで大層ありがたがっておりやすよ」
若武者は噂の矛盾が気になったが、ひとまず現地へ向かってみることにした。

麓の村で聞いたところ、尼寺は山の中腹にあるということだった。
しかし、若武者の言う邪気を撒く鬼の噂に村人たちは怪訝な顔をした。
「ありゃあ観音様じゃ。そんなおっかねぇ方でねぇ」
「お侍様、わしらの観音様に酷いことはせんでくだせぇ」
言いつのる村人たちは、みな男だ。
この村には、どういうわけか、女子供が一人もいないのだ。
若武者はますます不思議に思いながら、尼寺へと向かった。

尼寺は、静かなところだった。
小さなお堂のようで、部屋も少ない。
作られたのは古いらしく、所々に綻びが見られた。
「もし、どなたかおられるか」
声を掛けると、奥から、
「麓の里人ではないね。どうぞ、お入りに」
と声が返った。
声は、甘やかな響きがあったが、間違いなく青年のものだった。
「はて、ここは尼寺ではなかったか」
若武者は訝しんだが、奥へ進むと観音像の前で鎮座していたのはやはり青年であった。
仏壇の前に褥を敷き寝起きをしているらしい青年は、なぜか貴人の女房のように、被衣を纏って顔を隠している。
「私は鬼を退治にきたのだ。そなた、何か知らぬか」
若武者が不思議な格好の青年に問うと、青年は笑って、
「その鬼というのは、私だよ」
と答えた。
はらりと頭の布を取り去ると、青年の額にはたしかに二つ、人のものではない角がにょきりと生えている。
「なんと。鬼め、退治てくれる」
若武者は刀を抜こうとしたが、なぜだか鞘から全く抜けない。
目の前の鬼は動じることなく座したままだ。
「ええい、いかな外法か!」
若武者は悔しくなって鬼を睨みつけたが、鬼の静かな蒼い瞳は、しっかりとこちらを見据えている。
相対しているうちに、若武者は鬼から、不思議な匂いが漂っていることに気がついた。
花の匂いにも似ているが、どちらかというと、懐かしい乳母の胸の内のような、心をくすぐられる匂いだ。
「少しばかり、君の体を貸してくれないか」
鬼が動けないでいる若武者に、身体を擦り寄せて懇願してきた。
若武者は驚いた。
鬼はたしかに青年なのだが、その腹は子を宿した女のように膨れ、はだけた胸元からは乳を垂らす乳房が見えたのだ。
異様な光景にごくりと喉を鳴らす若武者の股ぐらに、鬼は手を伸ばすと逸物を取り出しておもむろに手で擦り出した。
若武者の陽物は、すぐさまいきり立って天を衝いた。
「ああ、元気だ。とても元気だね」
愛おしそうに頬ずりをする孕み腹の鬼を、若武者は辱めてやりたいと思ってしまった。
「鬼よ、やはり俺が退治てくれようぞ」
若武者は鬼を褥に押し倒すと、はだけた着物の前を開いて脚の内にあるものを露わにさせた。
鬼の身体は、不思議千万であった。
若武者と同じくぶら下げられた男の証のその下に、女陰(ほと)が慎ましやかに亀裂を刻む。
しんなりとした竿の先や女陰の奥からは、すでに褥に水たまりを作るほどの淫汁が溢れている。
若武者はこれまで目にしたことのない光景に、ますます魔羅をいきり立たせた。
退治という言葉の通りに、手加減もなく女陰に陽物を突き入れると、孕み腹には堪えるのか、鬼は褥の上でひどく身を震わせる。
時折鬼の陽物の先から、淫汁ではない液がぷしゃ、ぷしゃと漏れる音が聞こえた。
そこはすっかり快楽に気を遣られ、赤子のように尿(ゆばり)を垂れ流している。
ひくひくと連動する尻穴に指を入れてやると、なおのこと感じて脚をびくつかせた。
「おおっ……おおっ……」
抱き潰してやろうと思っていた若武者は、気づけばすっかり鬼の身体に翻弄され、腰をかくかくと振るしか考えられなくなって雄叫びを上げていた。
小さなお堂の床が、軋む音を立てる。
若武者が鬼の中へ精を放つと、鬼は口元を押さえ苦しそうに脚をつっぱり始めた。
産気づいたらしい。
慌てて身を引いた若武者が鬼から目を離せないでいると、その女陰から白濁にまみれながら赤黒い何かがいくつも這い出てくるのが見えた。
若武者は怖気付き、腰を抜かして立ち上がれなかったので、その様子を見ているしかなかった。
鬼が苦悶に喘ぎながら産み落とした赤黒い化け物は、産声を上げて産みの親にすがりつくと、はだけられた胸から乳を吸おうと我先に争う。
吸い終わった個体からぬるりと立ち上がり、若武者を一瞥すると、一匹、また一匹と村の方へと走り去っていく。
その股ぐらには、外見に似合わず人にそっくりな魔羅が一本、いきり立った姿で生えていた。
ようやく異形を産み落とし終わって腹が空になったらしい鬼が、虚ろな瞳で若武者を見る。
若武者は誘われるように、ふたたび鬼の褥へ引きずりこまれた。

若武者が尼寺へと向かって数日ののちのことだ。
麓の村では勘気の病が流行り、村人たちはみなお互いに殺しあって死に果てたという。
村は滅び、いまでは尼寺へ訪れる者も無い。
若武者の行方は、不明だそうである。