ツシマ、遅ればせながらクリアしました。

だいぶ前に中盤くらいまでは進めていたんですがDLCが来ると聞いてプレイを再開して数日、頑張ってサブクエや探索の魔力に抗いつつひとまずメインを終わらせることにしました。
あんまり強化せずに行ったので最低難易度でもラスボス戦辛かった…

最後の伯父上との一騎打ち後は生かす選択肢を選びましたが、YouTubeで殺す方の選択肢をアップしてる人がいたのでこっそり見てみたら、そちらはそちらで非常に余韻のある流れになっていて。
冥人の面頬をつけて「武士・境井仁は死んだ」を示しながら去っていくのもいいし、一族の眠る墓前で伯父上を刺し貫いて慟哭を上げる仁さんも最高に無情感があっていい。
うーん、どっちも好きだ。

冥人の物語として見るならば殺さない=志村も守るべき対馬の民の一人だし表立って対馬を守る武士の頭目は必要だから生かしておく、というのが自然だろうし、はたまた仁さん個人の物語として見るならば伯父上の死を望む気持ちも尊重したいわけですよ。
地位を剥奪されなかったとしても身内に背かれて武士の地位を落としてしまったという失態の評はついて回るわけで、それに耐えられない&民の支持は冥人にあると痛感してしまったからこそ、仁を始末出来ずに敗北してしまった以上は「誉れある死」を望んだんだろうし。
仁さんも仁さんで誉れは浜で死んだと痛烈ぬ罵倒しつつも、伯父と分かり合えることをどこか最後まで期待している部分があって、だからこそ「誉れある死」を望まれた時にあの究極の選択肢が出るんだと思うんですよ。
決定的なのが、仁さんの中では伯父上とのことをもう父と子の関係だと思っていたし、それは身分の上で認められなくても揺るがないものだって信じていたわけですが、志村にとっては心情的には同じ思いであったとしても体裁とか立場とかでどうしてもそれを対外的に認めさせるには仁さんを「誉れの道」に戻す必要があったってところで。
ただ、志村のやり方が「良かれと思ったレール敷きが独り立ちし始めた子の意思を阻害してから回りする親」そのもので、途中からは見ていられないくらいに仁さんとボタンの掛け違いを起こしていたというか。

つまるところツシマは、武士としての身分を捨てた冥人がうまれた過程を描いた話であると同時に、一人の人物としての仁さんが、父親がわりの伯父上から親離れする話でもあったなぁと。

出てくるキャラにどれも「聖人君子」がいないこともすごい好印象でした。
伯父上は誉れを重視するし仁にもそれを押し付けてくるけど、甥の命の恩人を蔑ろにしたり、民の手本であらねばといいつつ回避できたはずの犠牲を強いる特攻作戦を強行したりと誉れの基準が自己都合でコロコロ変わったり矛盾した行動を取るし、典雄は最終的に冥人の名を借りて復讐鬼に変貌するし、石川先生はクズだし…竜三もね…抱えている感情が複雑だったのとタイミングがなあ。
仁の乳母だった百合の話も、仁の母の死後、仁の父と密かに想いあっていたという驚愕の流れでしたが、セリフと空気感が「分かってる」人の作りをしてて、かなり好きなエピソードです。聞かされている仁さんからしたら複雑な気持ちだろうけど。
仁さん本人ですら、軸がブレたり、信条から外れたことをしてみたり、「カリカチュアライズされたキャラクターよりも、矛盾を孕んだ人間」を描きたかったのかなと。奥手なのかと思いきや石川先生の裏切りの弟子である巴を軽く口説いたりしてますし。竜三にはナチュラルボーンお坊ちゃんマウントかまして嫌な顔されてるのに全く気づかない鈍感ぶりだし。
サブクエの中にも冥人が毒で島民を殺しているという蒙古噂を信じて仁さんを拒絶する民衆もいたりして、話が進むと単に主人公が強くなる=NPCからチヤホヤされるようになるというよくある流れじゃなかったのに納得しつつもびっくりして。
歪な人間性がフィクションにしてはリアルすぎて、一見すると違和感を覚えるし、気持ちは良くないんですけど、そこがたぶん本作の渋さの源なんだろうなと。
こういうことを徹底してる作品ってなかなかお目にかかれないので、この違和感はかえって新鮮でした。
それゆえに、過酷な環境で育ったけれどゆなに過保護にされてきたであろうたかのメンタルの純真さが際立ったんだろうし、言葉は発さないけれども仁さんの心の癒しになってくれていた愛馬が死んだ時などはリアルにコントローラーを手放してウウーーーーーッとなりました……影……
二代目の馬ももちろん可愛いですけど、苦楽を共にしたあの子はもう戻らないんだ……ED後の隠れ家で仁さんが初代愛馬の鞍を大事に保管しているのを見てほっこりしました。

ゲーム体験自体もほんと抜群に楽しくて。
フックロープもあるし、アスレチックもあるし、狐は可愛いし神社の絶景は綺麗だし。
蒙古の拠点制圧は怖いんであんまりしませんでしたが。(冥人失格である)
愛馬で駆け回るだけで爽快感があるのでよいですね…オープンワールドの和風、めっちゃいいわぁ……ってなりました。
というか中盤まで来てしばらく脱線してしまったのは探索が楽しいせいです。
神社アスレチックは私の周辺ではあんまり評判良くなかったんですが、私は好き。
チャンバラ方面も、アクション下手な自分でも難易度やさしいでやればちょうどいいくらいの歯応えでした。やっぱ難易度やさしいが用意されてると、話を読みたくてゲームしてる勢からしたらありがたいですね。
(SEKIROは低難易度の設定がないのでまだ苦戦している…)
対馬地方に雪は降るのか?降ったとしても白樺林に白銀の原にはならなくないか?というツッコミはありますが、イマジナリーツシマであり仁さんの心象風景でもある!と捉えれば全然受け入れられますし、いろんな人がスクリーンショット撮ってアップしてるの見てもわかるんですけど、とにかく景観が綺麗なんですよね……

歴史ゲーム、ではなく時代劇ゲームという触れ込みなのも良かったと思います。
「逃げ上手の若君」巻末とかでも書かれてる「歴史ネタに基づいて監修はしてるけど、あえて違えてる部分もあります!その部分は作者の創作です!」ってはっきりしたスタンスなので、私のようなめんどくさい歴史創作好きにとっても、矛盾があったとしても受け止めやすいんですよね。
そこをさっ引いても伯父上は江戸時代の武士道を一人で邁進しようとしててちょっと「ええ…」ってなる時ありましたが。
迷セリフとしてやたら広まった感のある「誉れは浜で死にました!」は現状が見えてない伯父上への仁さんからの痛烈な叱責という相当シリアスな場面での言葉だったので、実際にあのムービー見た時はネタセリフ扱いしてたことを反省しました……あの状況じゃそう言いたくもなるってもんだよ……
伯父上はたぶん、平和な時代ならそこそこいい儒学的な君主になったんでしょうね。間違いなく中世の戦乱の世向きではなさそう。

最後までゆなと仁さんが恋愛関係になりましたみたいな明確な描写がなかったのも奥ゆかしくて良かったです。
夜通しさけを酌み交わしてみたり、俺がいる→冥人は島のみんなのもんだろ、というそれっぽいやりとりはあるものの、はっきりとした描写がないので想像にお任せします!になってるんですよね。
その辺りも含めて、これほんと洋ゲー?ってくらい言葉と言葉の間の空気感とか、「余白」がよくできてるなぁと思いました。深読みしようと思えばいくらでも想像を膨らませられる感じが、俳句とか和歌とか、そういう文化背景みたいなのをよく把握して作られてるなぁと。

DLCの方ではなんか妖しい女蒙古隊長?が出てくるみたいなので楽しみに待ちます。
仁さんはマインドコントロールに負けるんでしょうか。スケベ展開期待しても良いのでしょうか。
猫!猿!鹿!との触れ合いも!ありますしね!!!