少し前に遊び始めたんですが思った以上にハマってしまい、ようやく各キャラの好感度イベントがおおよそ見終わったかな?という所まで来たので感想をば。
ただ、アフロディテの絆とデューサのロマンスが残っているんですけど、それ以外でもめちゃくちゃ見れてないセリフたくさんあるみたいなのでもう諦めて現時点での感想ということで許してほしい。
全体的な話
もともとゲームタイトルとビジュアルだけは目にしたことがあったんですよ。でも、どういうゲームかまではよく知らなくて。
ゲームさんぽのチャンネルで実況動画のサムネに「冥界脱出」って書いてたのをチラ見したこともあったので、ああなんかアクション系なのかな、くらいは知ってましたがびっくりするほどノータッチ・ノー知識のまま2022の夏を迎えたわけです。
そして、相方がSteamのサマーセールで買ったとかで、「面白いから!遊んで!貸すから!」(※ファミリーシェアリング機能)と猛プッシュしてきたので、始めは「まあそんなに薦めてくるならやるか…」くらいの軽い気持ちで始めたんですよね。
どんな功徳や強化を取ったほうが良いかとかを通話で聞きながら進めていくうち、「お、死にまくるけど死んでも話進むのか。これならアクションあんま得意じゃないけどやれそうかも…?」という期待があったので、テセウスやハデスパパに返り討ちにされて悔しがりながらもどうにかまずは1回目の脱出。
ザグレウスの人柄(神柄?)が絶妙なんですよ。
皮肉や煽りがキレッキレだけど、行動力もあって、ハツラツとしているけどやっぱりどこか鬱屈としている。そして王子らしい、末っ子らしい明るさも備えている。
Hadesは本当にストーリーの開示の仕方が丁寧で巧妙で繊細なので、最初は放蕩家出息子だぜイェーイ!なノリで脱出を目指すけれども、どうして彼が脱出しようとしているのか、父親と折り合いが悪いのはなぜなのかがハッキリしていくうちに気づけばどんどんザグレウスに自然と感情移入していってしまう。
10週目のクリアを遂げ、母上と二人で館に帰ってきたEDを見届けたときには、けして彼は反抗期の悪ガキでもなんでもなく、彼が冥界を脱出したからこそ色んなことが好転したんだろうなあとじんわりきっぱなしでした。
ザグレウスが血と生命の神と仮説を立てたアキレウス師匠はかなりの慧眼だ…
Hadesに似たゲームというとなんだろうな、とふと考えたんですが、偉大な親を持つ不出来(?)な神様が頑張るあったかい話、という共通点でぱっと思い出すのは「天穂のサクナヒメ」で、生きづらいタイプの人間を繊細に描いていてほっこりするのは「Stardew Valley」「Coffee talk」あたりが近しい印象があります。
ただ、Hadesはキャラクターやフィールドのデザインがエッジが効いててめちゃくちゃかっこいい系なのに、ストーリーがびっくりするほど誰も傷つかない心温まる世界(それでいて、不自然ではない)なので、正直今のところ比較できる作品がぱっと思いつかないです。そんな不思議な魅力があって、プレイする手が止まらない…今日も元気に脱出だ…
ロマンスのこと
そして、それだけだったら「良い家族愛のストーリーだったなぁ。名作だ~」で終わってたと思うんですが、全く予想だにしていなかったことにこのゲーム、「好感度」と「ロマンス」要素が存在している、という情報を攻略途中で得てしまって。
びっくりですよ。それまで純粋な神話ストーリーアクションゲームとして楽しんでたのに(まあやたら人間関係描くのが丁寧だなとは思ってたけど)。
しかもロマンス対象が、
- 元カノ
- 兄弟として育った年上の幼馴染
- 屋敷の使用人(人外)
ですからね!?
兄弟CP、女性上位、人外が好きな私にはドンピシャすぎました…
挙げ句に、ロマンス完遂するとゲーム内で暗転→アハハウフフがあるという至れり尽くせり具合で、選択肢次第では3Pまであるときた。
そしてHadesの偉いところは、それをすべて任意で選択できるんですよね。
なので、二股かけてもいいし、全員と「お友達のままで…」というのもできる。押し付けてこないのがいい。
さらにいいのが、複数人で同時にロマンスが進行しているときにちゃんとフォローアップするセリフが存在するし、攻略対象相手が実質全員もとから大きな家族のようなものなので、お互いを快く受け入れているという画期的な描写。
現実にやったらいろいろアレになりそうだけど、「神々の物語である」「しかもギリシャ神話である」「フィクションである」ことを最大限に活かして、全員が同時に幸せになれるような表現が成立しているのは本当に奇跡だと思います…
ロマンスのルートですが、あまり比較したくはないけど、やっぱり一番王道のルートと思われるのはタナトスのルートなのでしょうか?(冥友の欄でもはっきり伴侶と記されるのはタナトスだけなので)
ほか二人のルートに比べて関係性の描写がかなり細かく、段階を踏んで一歩一歩「最愛の友」から「伴侶」に変わっていく姿を一部始終見せつけられて、プレイヤーの情緒は尊さでズタボロでした。
師匠やニュクス、オリュンポスの神々まで、外堀を埋めるのが上手すぎるんですよ…お互い以外の人間関係の中で育まれるカップリングが大好きなのでたまりませんでした…
生命・血の循環の神ザグレウスに惹かれる死の化身タナトスの構図にときめかないオタク、いる?(主語がデカい)
ロマンス完遂後、彼が部屋を尋ねてくるシーンで「(お前は俺の気持ちがはっきりするまでいつまでも待つというが)一体何を待つというんだ?俺はもうここにいるというのに…」と切なげに言われたときは…もう…ネ…
師匠は師匠で、生前の親友&伴侶(パトロクロス)とのことをかなーり引きずってて、冥界の書のパトロクロスの文面からもその心の乱れっぷりが伺えるんですけど、再会できるよう契約を変更したとザグが報告しに行ったときの師匠の腰がそわそわしている感じがほんとうに可愛くて…
ギリシャ神話ぜんぜん知らんまま遊び始めたのでパトロクロスのことはHadesで知ったクチなのですが、アキレウスにこんな男前の相棒がいたなんてもっと早く知りたかった。
アキレウスはFGOに出てたのでなんとなく豪快で快活な英雄、みたいな元気系イメージがあったんですが、けっこう感情がワーッてなると暴走するタイプなんだな…かわいいね…
(パトロクロスの仇討ちに出ようとする時オデュッセウスに「さすがにまったく飲み食いせずに戦い続けるのは無理だよ!?」って止められたりしたエピソードがあるんだとか)
古代から続いているらしいCP論争ですが、私はどちらかというとパトアキ派だな…かの有名なプラトン先生も強火のパトアキ固定派だそうですね…
パトさん包容力ありそうだもんね…女装して戦に駆り出されないようにしていた頃のアキレウスはさぞ可愛かったんでしょうね…年下の主人にかしずく従者で親友…良きだね…
Hadesの二人はそういう生前を踏まえつつ、ふたりともいい感じのおっさんビジュアルなのでそこもたまらないですね。男性人妻アキレウス。パトさんに膝枕とかしてそう。
英語(原語)との比較
Hadesは英語のフルボイスに日本語字幕のゲームなので、当然、字幕と言ってることがちょっとズレてることに気づく場面があります。
一番顕著に出ていたのが、愛称かな?
メガイラの愛称「メグ」やザグレウスの愛称「ザグ」は日本語でも採用されてましたが、タナトスの「Than」(ザグが呼んでる)とパトロクロスの「Pat」(師匠が呼んでる)、オルフェウスの愛称「オルフィー」(綴り不明/エウリュディケが呼んでる)は普通にフルネームに置き換えられていて、音だけでわかる感じになってます。
師匠からザグレウスに対しても「Lad」という呼びかけがあるのですけど、こっちは「若者」みたいな意味らしい。
でもこの愛称、どれも愛があって可愛いんですよねえ…公式日本語訳はわかりやすく絶妙なニュアンスをうまく表現してくれているように感じますが、愛称の点だけは原語のほうが可愛さに軍配です。
逆に英語版ではザグレウスはアキレウスは普通に名前を呼ぶだけなので、「師匠」という呼びかけは別言語版の特権みたいで可愛いです。やったね。
あと、タナトスとのロマンスを進行中にザグレウスが「おまえのことが大切だからだ」というセリフを言うところがあったんですけど、よわよわ英語力の脳みそは「Likeって言ってるな…Loveじゃないのか…?」とちょっと気になったので調べてみました。
そしたらどうも、「Love」は家族やお気に入りの物に発言する場合は気軽に言えるみたいなんですが、「お付き合いしたい相手/し始めたばかりの相手」に言うとなると、「(それなしではいられない)重さ」みたいなものが出てしまうことがあるとのこと。
つまりザグレウスが「Like=大事なんだ」と言ってアンブロシアを渡した背景には、惹かれている相手を怖がらせないための奥ゆかしさと、反応を伺う一抹の臆病さとが同居しているのかもなぁ、と思いを馳せたりしていました。
日本語で大切とか、大事って言うと直接「愛している」「好きだ」と言わせるよりも「Love」と「Like」の間にある様々な感情を内包できるし、意味深さも出せるので、名訳ですね。
エピローグに惚れた
エピローグまでたどり着くと、断絶していたオリュンポスと冥界の仲が取り持たれ、大家族の縁が修復されます。
曲者揃いのオリュンポスの神々相手に話をまとめるザグレウスの母上ことペルセポネもすごいですが、私はその後のエンディングのナレーションがとても気に入りました。
「こうして家族は一つになったが、このことは人間たちには知られてはいけない。なぜなら冥界は恐れられていないといけないから」
といったニュアンスのナレーションです。
「だからこの物語は、一般には神話として表立っては知られていないんだよ」というオチの付け方に、正直「やられた!」と鳥肌が立ちました。
謎が多く、(主流の信仰に反して輪廻転生を信じるという)反逆のザグレウス神話、という立ち位置を最後まで貫いていたんだなぁ…!という感動!
逆立ちしても勝てる気がしない…本当に素敵な締めくくりだと思います。
プレイ中に副読本にした本
古代ギリシャ神話については神様の名前をちょっと知っている程度で、あとFGOでかじった範囲のことしか知らなかったので、補足知識がほしいなと思い「古代ギリシャのリアル」「食べるギリシア人-古典文学グルメ紀行」あたりを読みながらプレイしておりました。
あと、ネタバレ踏みたくなかったのでゲームさんぽのHades回は10週してから見たんですが、解説がめちゃくちゃ面白かったので4回と言わずもっとやってほしい…!
パトアキ・アキパトCP論争IN紀元前の話と、タナトスの賜物が「本気のホワイトデーを感じる」って言われてたのがオタク的にはハイライトです。
今は「古代ギリシャのリアル」で参考文献に載っていた「古代ギリシアの同性愛」を読みながらあまりの実態に頭を抱えているところです。古代ギリシャ、自由すぎる…